「ご利用は計画的に」はいつから聞くようになったのか
金融業者の広告でよく見かける「ご利用は計画的に」のコピー。もはやツーと言えばカー、消費者金融と言えばご利用は計画的に、とセットになっていると感じるほどです。しかしこれは単なるテレビCMの謳い文句などではなく、ちゃんとした根拠を元にした注意喚起でもあるのです。
この注意喚起は日本民間放送連盟が定めた規約によるものであり、消費者金融等のテレビCMには「ご利用は計画的に」のような注意喚起をするコピーを入れなければならないという決まりなのです。
放送に関する規約に書かれた注意喚起です
その他に、日本民間放送連盟が定めた規約として消費者金融に関するテレビCMは、子供や青少年がよくテレビを視聴する朝7~9時や夕方17~22時は流してはいけない、夜22~24時のあいだはCM本数を50本以内にするといったルールも存在します。
これは消費者金融のイメージが若年層の人たちにとって教育上好ましくないと思われていることの表れであり、世間的に良い印象を与えていないということを裏付けているのです。日本の経済的発展や生活スタイルの多様化に伴って、金融業界も消費者にとって使われやすい便利な存在になっていきました。
「サラ金」のイメージアップとしての広告
その昔、消費者金融は「サラ金」と呼ばれていた時代がありました。
サラ金とは「サラリーマン金融」のことですが、金貸し業者として高い金利を取ることで有名でした。当時、サラ金からお金を借りるということは、社会的に見てもまともではないという目で見られていたのです。そのため、サラ金業者もイメージアップのために様々な方法を考えました。その成果の一つがテレビCMでした。
銀行系の新規参入が相次ぎ、イメージが改善してきました
消費者金融の人気が高まってくると、銀行系のカード会社や信販系の会社などがどんどんと消費者金融市場へと参入を始め、消費者金融市場は活性化していきました。
1990年代に入るとCMなどにも工夫がみられるようになり、CMに出演していたチワワが大人気となったり、「じゃあ、地球寄ってく?」などという流行語も生まれました。消費者金融は誰もが気軽に利用できる金融機関というイメージが定着して行き、より利用者にとって身近な存在になっていきました。
注意喚起としての広告
実はキャッシングはお金を借りることよりも返済計画をしっかり立てることのほうが重要なのです。計画は緻密であればあるほど良いです。
キャッシングが一般的に審査時間も短く、審査を通れば即融資を受けられる大変便利なサービスであるがゆえに、利用者が油断をしてしまう可能性が高く、金融機関の広告上で「ご利用は計画的に」のような注意喚起が必要となるのです。
消費者金融は便利で人気!だからこそ注意が必要!
今では信じられない話ですが、サラ金にはかつて金利の黄金時代がありました。1960年代~70年代にかけての金利は年利90%が普通でした。
ところが70年代後半になると外資系なども次々と参入し、顧客獲得合戦が本格化していきます。顧客を奪うために金利を下げる消費者金融が相次ぎ、80年代初頭には半分程度の42%~49%ほどにまで年利が下がってきます。もちろん今の利率から考えれば法外な年利ではあります。
サラ金の歴史:金利90%から年利18%前後に落ち着くまで
1980年代頃、消費者金融から多額の借り入れをした多重債務者の破産や自殺が社会問題となった時期がありました。これにより消費者金融に対する社会の目は厳しくなり、消費者金融業者に対して法的な規定を求める声が上がり始めました。
そして2003年にヤミ金と呼ばれる悪質な違法業者を取り締まることを目的に、規制を強化した改正法(通称「ヤミ金融対策法」)が成立し、2004年に施行されました。
「ヤミ金融対策法」は業界も注意喚起を徹底しています
そしてその後も消費者金融に対しての規制は厳しくなり、より利用者の身の安全を守るような動きが世間ではありました。「ご利用は計画的に」の広告も、このような利用者の身を案ずるためのスローガンなのです。
「ご利用は計画的に」以外にも現在では「契約内容をよくご確認ください」、「収入と収支のバランスを大切に」、「無理のない返済計画を」といったコピーも目にするようになりました。そもそも計画的に行動できる人がキャッシングなんて利用しない、という思惑もあって、より具体的なアドバイスに変わってきているのかもしれません。
借り入れの前に返済後の計画もしっかり立てよう
お金を借りてしっかり返すまでの計画を立てるのは大前提として、消費者金融でお金を借りた後に利用者の生活にどのような変化が起こりうるのかも考えてみましょう。
職場バレは在籍確認がきっかけで知られてしまうことが多い
例えば会社に勤めているサラリーマンが消費者金融を利用したとしましょう。消費者金融で融資の申し込みをした後に、消費者金融の担当者から勤め先に連絡がいく場合があります。これは利用者が本当にその勤め先で働いているかどうか在籍確認をするためです。
その際に担当者が消費者金融の名を名乗るかどうかは定かではありませんが、利用者が消費者金融に申し込みをしたということが会社にバレるというリスクがゼロではなくなるわけです。もし会社にバレでもしたらその人の評判が良くなるわけはありませんし、人間関係に亀裂を生む可能性もゼロではなくなります。
家族バレは郵送物から発覚するケースが多い
会社以外に家族に知られてしまうケースも想定してみましょう。消費者金融の担当者から利用者の携帯電話に連絡が来れば家族に知られる心配もありませんが、郵便物が自宅に届いてしまわないかというリスクは事前に調べておくべきです。
最近では明細書を郵便物ではなくインターネットで管理できるようになっているので、それを利用すればそのリスクは避けられます。しかし、返済が滞ってしまうと、催促状などが郵便物として届いてしまう可能性もあるので、しっかり返済をすることが必要です。
住宅ローンや自動車ローンで不利益がないようにしましょう
将来的に住宅を購入したいと考えている方は、消費者金融の利用を一度、踏みとどまってください。
消費者金融での借り入れがあると、住宅ローンの審査が通りづらくなる場合があります。住宅ローンの借り入れ金額はとても大きいので、その分審査も厳しくなります。その歳に、消費者金融での借り入れがあるとその人の収入の安定が疑われる不安要素になってしまいます。
ただし、消費者金融を過去に利用していたとしても、遅延せずにしっかり完済していれば、それが逆にプラスになる場合も考えられます。つまり、借り入れをしても完済能力があるという印象を持たれるということです。いずれにしても、消費者金融を利用したら期日どおりにしっかり完済するのが大前提であり、完済までの計画を事前にしっかり立てることが必要不可欠です。
もし返済できなくなってしまったら
キャッシングの返済が出来ず、返済のために他の金融機関で新たに借金をして借金返済の資金にあてるといった悪循環にはまり、多重債務者のレッテルを貼られてしまっても思いつめてはいけません。
弁護士や司法書士に相談して、債務整理をしてもらうことを考えましょう。容易にするものではありませんが自己破産という借金がチャラになる方法も存在します。その他にも任意整理、特定調停、個人再生などの債務整理の方法がありますので、自分でどうにもならない時はプロに相談しましょう。