未成年ならではの借金トラブルがある!
一般的にカードローンは安定収入がある成人を対象としています。しかし、未成年でも急にお金が必要になることはありますよね。絶対にあってはならないことですが、成人と偽ってカードローンに申し込んだ場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
未成年者がカードローンを利用できない理由
そもそもなぜ、未成年者はカードローンの対象外になっているかというと、そのように民法で定められているからです。社会経験が十分ではない未成年者がだまされてお金を奪われないように守る仕組みについて解説します。
民法は未成年者に法律行為を禁止
民法第4条で成人は20歳以上と定義されています。そして、未成年者は民法第5条1項により法定代理人の同意がないまま単独で契約行為に及ぶことができません。
法定代理人とは通常は親権者になります。もし、未成年者が契約を締結したいならば、
- 法定代理人である両親の同意を得て自分で契約する。
- 両親が未成年の代理で契約する。
これらのいずれかの方法を取る必要があります。
法定代理人の意向がとにかく大きい
未成年者の契約行為はとにかく法定代理人の意向が大きいことが特徴です。法定代理人の同意を得ずに締結した契約は取り消し可能と、民法5条第2項でも定められています。
たとえば、未成年者が悪徳業者にだまされて高額商品を売りつけられたとしましょう。業者は相手を未成年と知りつつ販売し親の同意を得ていなかったのであれば契約取り消しとなり支払い義務も発生しません。
注意!未成年者でも取り消せない契約もある
「親に内緒でカードローンを契約すれば、結局は契約無効となり借り逃げできるのでは?」と、よからぬことが脳裏をよぎった人もいるかもしれません。しかし、世の中そんなに甘くないものです。
未成年者でも身分証を偽造しての契約は取り消し禁止
未成年者がカードローンの審査を通過するには身分証を偽造する必要がありますが、もちろんそれは違法行為です。民法21条でも未成年が成人を装って締結した契約は取り消せないとあり、返済義務が生じます。
その他、未成年者でも結婚していたり結婚歴があったりすると民法753条により成人と見なされます。これにより年齢を詐称しなくても一部のカードローンが特例として契約可能になるかわりに契約無効にもできません。
返済義務をめぐって裁判になることも
法定代理人である親が同意をしてくれれば、18歳以上にお金を貸してくれる中小消費者金融はたくさんあります。親の同意書が必要になりますが、ここで問題になるのが「未成年者が親のサインを偽造して行った契約はどうなるのか」という点です。
もし、未成年者がサインを偽造したという証拠があるならば返済義務が生じます。証拠を提出するのが難しい場合、金融機関側のサインのチェックは十分だったのか等を含め、裁判で争うことになるでしょう。いずれにせよ、弁護士に相談しなくてはいけません。
親が勝手にカードローンを契約していたら?
未成年者の契約行為において法定代理人の存在はなくてはならないものです。それを悪用する親も残念なことに存在しています。レアケースではありますが、親にカードローンを勝手に契約されてしまった場合の対処法などを紹介します。
親が勝手にカードローンを組める理由
最近のカードローンはネット経由で気軽に申し込めるものが少なくありません。本人確認の電話番号を親直通のスマホなどにして、本人を装って対応すれば審査通過は難しくないでしょう。
「彼氏や彼女に勝手にカードローンを組まれてしまった!」という被害も実際にありますが、親ならば同居している子どもの免許証などを拝借することも難しくないはずです。まして、未成年のカードローンで最も重要視される法定代理人の同意書は自分で用意できるわけですし……。しかし、いくら親子だからといってゆるされることではありません。
親が勝手にカードローンを組んでも返済義務なし
親が勝手にカードローンを組んでいることがわかったら、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。このような行為は窃盗罪、詐欺罪、私文書偽造罪などに該当するものです。もちろん、返済義務もありません。
しかし、親が「子どもは承諾している」という嘘の主張をすることもあります。「承諾がなかった」と立証できない場合、結局は債務を負ったまま返済せざるを得ないということも……。後に親に民事裁判で勝訴したとしても、そのような犯罪行為に手を染めるほど生活に困っている相手から返済額を賠償してらうのは難しいかもしれません。
未成年におすすめのお金を借りる方法はコレ!
銀行や消費者金融のカードローンは、未成年は特例を除いて利用することはまずできません。カードローン以外に未成年がお金を借りる方法はないのでしょうか。
クレジットカードのキャッシング枠を利用する
クレジットカードの中には未成年OKとしているものいくつかあります。たとえばクチコミでも人気のJCB CARD Wならば、
- 18歳以上(高校生不可)
- アルバイト等の収入証明書を提出できる
- 親権者の同意を得られる
という3つの条件を満たしていれば未成年でもキャッシング枠を設定可能です。親の同意が必須なのはカードローン同様ですが「クレジットカードでショッピングをしたい」とお願いできるのでよりハードルが低いのではないでしょうか。
未成年の場合、キャッシング枠は最高10万円ともいわれ高額融資は難しいでしょう。しかし、たとえアルバイトで定期収入があっても未成年が大きな借金を作るのはおすすめできないので十分なのではないでしょうか。
学生ローンならば即日融資も可能
18歳以上の大学生・短大生・専門学校生ならば学生ローンでお金を借りることができます。なかでもマルイは即日融資可能なので急いでいる人にもおすすめです。
マルイ
利用限度額 | 金利 | 返済期間 |
---|---|---|
1万円~50万円 | 実質年率15.0%~17.0% | 最長3年、1回~36回 |
そして、なんとカレッヂとアイシーローンは10万円までならば親への確認なしに融資可能というのも見逃せません。ただし、この二社こそ正規の会社ですが「親の同意不要」などとアピールしている会社はだいたい闇金融なのでくれぐれも契約しないようにしてください。
カレッヂ
利用限度額 | 金利 |
---|---|
1万円~50万円(未成年は10万円まで) | 実質年率17.0% |
アイシーローン
利用限度額 | 金利 | 返済期間 |
---|---|---|
1万円~50万円 | 実質年率10.0%~20.0% | 最長5年、1回~60回 |
未成年ならばクレカのキャッシングまたは学生ローン
最後に、今回の記事のおさらいをしましょう。
- 未成年は民法で法律行為を禁止されているのでカードローンは契約できない。未成年と締結した契約は無効になる。
- 未成年が成年と身分証等を偽造して結んだ契約は無効にならない。カードローンも返済義務が生じる。
- 親が勝手にカードローンを契約してしまった場合、返済義務はない。ただし、同意があった・なかったの裁判沙汰になることも。
- 未成年がお金を借りるにはクレジットカードのキャッシングや学生ローンがおすすめ。
基本的に未成年ではカードローンの審査を通過することはできません。かといって成年と偽造してまで契約しようとするのは違法行為です。そのような犯罪に手を染めなくてもクレジットカードのキャッシング枠や学生ローンなど、未成年でも合法的にお金を借りる方法はあります。親が勝手にカードローンに申し込むというのもまた違法行為です。巻き込まれた場合にはすみやかに弁護士に相談してください。