カードローン審査におけるスコアリングとは?
カードローンの審査にはスコアリングシステムが導入されています。
これは個人の属性を点数化するシステムであり、点数が良いほど審査合格可能性が高まり、また有利な条件で借りやすくなります。
スコアリングは急に改善できるものばかりではありませんが、少し気をつけるだけで審査で有利になることもあります。
カードローンの審査結果はスコアリングシステムによって導かれますので、まずはこのシステムを理解するところから始めてみてください。
カードローンのスコアリングシステムってなんだ?
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、カードローンの審査は基本的にスコアリングというシステムのもとで行われています。スコアリングとは、個人の属性(職業、勤続年数、収入など)に点数をつけて、その点数が一定の数値を超えた場合にのみ貸し出しを行うという仕組みのことです。
例えば年収が200万円以下ならば2点、200万円以上350万円以下ならば4点、350万円以上500万円以下ならば6点……といった感じです。この点数の合計が高ければ高いほど審査可能師が高くなり、また利用限度額も高くなります。
スコアリングの属性、評価は金融機関ごとに異なる
スコアリングの評価の仕組みは、金融機関ごとに異なります。年収を最も重視する業者もありますし、借入件数を最も重視する金融機関もあるかもしれません。ただ、具体的にどこを評価しているかについては非公開であり、外部の人間が具体的な評価基準を知ることはできません(推測は可能ですが)。
スコアリングの精度は年々高まっている
スコアリングのシステム自体は古くからあるものです。昔からカードローンや住宅ローンの審査を行う際には広く使われていました。いわば伝統的な手法です。
昔はスコアリングは基本的に人の手によって行われていましたが、最近はコンピュータによる自動審査が支配的になっています。コンピュータが申込者の情報を自動的に処理し、点数をつけてくれるのです。この仕組の発展により、金融機関は短時間の間に、正確に、大量の審査を行うことが可能になりました。その結果、従来は難しかった即日融資を行うような業者も増えてきました。
カードローンのスコアリングで重視されるポイントは?
前述の通りスコアリングの評価の基準は業者によって異なりますが、最近は業者ごとの基準の差は少なくなってきているようです。業者側にノウハウが蓄積し、どのような評価基準で評価すれば焦げ付きが少なくなるのかがわかってきたためです。
基本的にスコアリングで重視されるポイントは年収と勤務先、そして勤続年数です。
年収と勤務先は安定している方が良い
年収と勤務先のポイントは、その安定性の有無です。「年収は金額の多寡が何よりも重要なのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそれは違います。たしかに年収が多いほうが高く評価されるのは確かなのですが、最近は低年収でも借りられるカードローンも増えてきています。
それよりも大切なのは、年収の安定性です。平均年収が600万円あっても年によって200万円になったり1000万円になったりするような人よりは、平均年収は500万円でもその金額がずっと安定している人のほうが高く評価されるはずです。
これを理解すると、スコアリングで高く評価される職業も自ずと見えてきます。スコアリングシステムにおいて大抵の場合最も評価されるのは公務員です。年収の安定性という基準から見て、これ以上のものはありません。特に県庁や大都市の地方公務員等は、高く評価される傾向にあります。
大企業の正社員も、それとほぼ同じくらい高く評価されるはずです。大企業の基準は非公開ですが、基本的には資本金で判断されると考えたほうがいいでしょう。資本金が多ければ多いほど、高く評価されます。
中小企業であっても、正社員という立場ならばそれなりの評価は得られるはずです。しかし、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートなどでは評価は下がるでしょう。
個人事業主も総じて低評価になりがちです。特に年収が安定していない場合は、その評価は低くなりがちです。無職はその時点で、契約の対象外となることも多いです。
職業 | 評価 |
---|---|
公務員 | ◎ |
大企業の正社員 | ◎ |
中小企業の正社員 | ◯ |
派遣社員、契約社員 | △ |
アルバイト、パート | △ |
無職 | × |
勤続年数1年未満の場合は要注意
勤続年数とは、今の職場に努めている年数のことです。たとえ社会人生活30年であっても、転職直後の場合は1年未満と判断されます。
勤続年数は原則として、長いほうが高く評価されます。勤続年数が長いと、それだけ「いきなり退職する可能性が低い(いきなり収入が無くなる可能性が低い)」と判断されるためです。逆に勤続年数が短いと評価は低くなります。
現時点で勤続年数が1年未満という場合は、申込みは少し待ったほうがいいかもしれません。また、現時点での勤続年数は十分長いけれど、転職を考えている場合は、先に借り入れを済ませてから転職することをおすすめします。
職業 | 評価 |
---|---|
10年以上 | ◎ |
5年以上10年未満 | ◎ |
3年以上5年未満 | ◯ |
2年以上3年未満 | △ |
1年以上2年未満 | △ |
1年未満 | × |
その他の評価基準
前述の通り、スコアリングの中でも特に重要性が高いのは職業、勤務先、そして勤続年数ですが、それ以外にも様々な評価基準があります。こちらも無視できるものではありませんので、しっかりと確認していきましょう。
年収
年収の多寡は、審査結果に大きな影響を与えます。前述の通り最近は低年収でも借りられるカードローンが増えてきていますが、年収が高いほうが審査に通る可能性は高くなりますし、より有利な条件で借りやすくなります。基本的には年収が300万円もあれば消費者金融のカードローンに合格する可能性は十分に確保できます。
年収 | 評価 |
---|---|
1000万円以上 | ◎◎ |
700万円以上1000万円未満 | ◎ |
500万円以上700万円未満 | ◎ |
400万円以上500万円未満 | ◯ |
300万円以上500万円未満 | ◯ |
200万円以上300万円未満 | △~◯ |
100万円以上200万円未満 | ×~△ |
100万円未満 | ×~△ |
業種
勤務先の業種も、審査に対して影響を与えます。基本的には景気に左右されない業種ほど評価は高くなります。また、公務員は評価が高くなりやすく、年金受給者は評価が低くなりがちです。サービス業は勤続年数が長くなっても賃金が上昇しづらいため、スコアは低くなることが多いです。
業種 | 評価 |
---|---|
学校・教育機関 | ◎◎ |
病院・医療 | ◎ |
国家資格保有者の専門職 | ◎ |
電力、ガス、水道など | ◎ |
金融業 | ◯ |
製造業 | ◯ |
卸売業 | ◯ |
情報サービス、広告 | ◯ |
不動産業 | ◯ |
鉱業 | ◯ |
農林水産業 | △ |
建設業 | △ |
運輸業・タクシー | △ |
飲食 | △ |
理容・美容 | △ |
観光・ホテル・旅館 | △ |
その他サービス業 | △ |
年金受給者 | △ |
借入状況
現時点で借り入れがある場合、そうでない場合と比べて評価が下がってしまいます。ここで重視されるのが、借入先の種類です。借入先が銀行である場合は、多額にならなければあまり評価は下がらないのに対して、信販会社やカード会社、あるいは消費者金融からの借り入れは少額であっても評価が下がりがちです。
また、借入件数も大きく評価に影響を与えます。借入件数が3件以下の場合は評価はそれほど低くなりませんが、4件の場合は要注意、5件の場合は非常に危険となります。現時点ですでに4件以上の借り入れがあるという場合は、最も借入額が少ないところだけでも早急に返済して、借入件数を減らしたほうがいいでしょう。
借入先 | 評価 |
---|---|
借り入れなし | ◎ |
銀行 | ◯ |
消費者金融、信販会社など | △ |
借入件数 | 評価 |
---|---|
借り入れなし | ◎ |
3件以下 | ◯ |
4件 | △ |
5件以上 | × |
返済事故情報
当然の話しですが、返済事故に関する情報は、審査に大きく悪影響を与えます。覚えておきたいのは、返済事故の発生が最近であればあるほどスコアが低くなることです。事故の内容が同じであっても、発生が1ヶ月前なのと5年前なのとでは、前者のほうがより評価が低くなります。
事故情報 | 評価 |
---|---|
なし | ◎ |
5年以上 | △ |
1年以上5年未満 | △ |
1年未満 | × |
延滞日数
事故情報と同じく、延滞日数も審査に大きな影響を与えます。もちろん、理想は延滞なしですが、万が一延滞してしまった場合も、その期間を短くすることによって悪影響を最小限に留めることができます。延滞機関が3ヶ月以上となってしまうと評価が大きく下がり、借り入れが難しくなることは間違いありません。
延滞日数 | 評価 |
---|---|
なし | ◎ |
1日 | ◯ |
2日~1週間 | △ |
1週間~1ヶ月 | △ |
1ヶ月~3ヶ月 | × |
3ヶ月以上 | ×× |
年齢
年齢もスコアリングに対して大きな影響を与えます。例えば申込可能年齢が20歳~65歳となっている場合でも、20歳が申し込むのと40歳が申し込むのと65歳が申し込むのでは審査結果がそれぞれ別物になります。基本的には働き盛りとされる30代~40代あたりが高く評価されます。逆に20代、50代、60代は評価が低くなりがちです。20代の評価が低いのはその時点での収入が少ないため、50代以降の評価が低いのは近い将来に引退して収入が下がる可能性が高いためです。
年齢 | 評価 |
---|---|
20代 | △~◯ |
30代 | ◎ |
40代 | ◎ |
50代 | △~◯ |
60代 | △ |
70代以上 | ×~△ |
家族構成
家族構成もスコアリングに対してある程度の影響を与えます。基本的には配偶者や子供がいたほうが「それだけの家族を養える能力がある」とみなされて評価は高くなりますが、子供の数が多い場合は支出が多くなると考えられるためか逆に評価は低くなります。減少率は低いのでそこまで心配する必要はないでしょうが、一応注意はしておきましょう。
年齢 | 評価 |
---|---|
配偶者あり | ◎ |
配偶者なし | ◯ |
年齢 | 評価 |
---|---|
子供なし | ◯ |
子供1人 | ◎ |
子供2人 | ◎ |
子供3人 | ◯ |
子供4人 | ◯ |
子供5人 | △~◯ |
住居形態と住居年数
住居の種類や年数も、スコアリングに対してある程度の影響を与えます。基本的に住居は賃貸よりも持ち家の方が、住居年数は長いほうが評価されます。持ち家が評価されるのは、「持ち家を持てるほど経済力がある」とみなされるためです。持ち家の場合は、自己所有のほうが家族所有よりも評価が高くなります。
ただ、スコアリングに大して与える影響はそこまで大きくないので、賃貸マンションやアパートに在住しているからと言ってそこまで心配する必要はありませんが、住み込みなどの場合は評価が低くなることもあるので注意が必要です。
住居年数 | 評価 |
---|---|
10年以上 | ◎◎ |
9年以上10年未満 | ◎ |
8年以上9年未満 | ◎ |
7年以上8年未満 | ◎ |
6年以上7年未満 | ◎ |
5年以上6年未満 | ◯ |
4年以上5年未満 | ◯ |
3年以上4年未満 | ◯ |
2年以上3年未満 | ◯ |
1年以上2年未満 | ◯ |
1年未満 | △ |
住居形態 | 評価 |
---|---|
持ち家(自己所有) | ◎◎ |
持ち家(家族所有) | ◎ |
公務員官舎 | ◎ |
社宅 | ◎ |
寮 | ◯ |
借家 | ◯ |
賃貸マンション | ◯ |
賃貸アパート | ◯ |
公営住宅 | △~◯ |
住み込み | △~◯ |
保険証の種類
所有している保険証の種類も、審査に影響を与えます。保険証は大きく「社会保険証」「国民健康保険証」「船員保険証」「未加入」に分けられますが、この中でも最も評価が高くなるのは社会保険証です。社会保険証は公務員、及び会社員が保有している保険証です。
国民健康保険証や船員保険性はそれには一歩劣るものの、特にマイナスの評価をされることはありません。ただし、未加入の場合は大きくマイナスされます。
保険証 | 評価 |
---|---|
社会保険証 | ◎ |
国民健康保険証 | ◯ |
船員保険 | ◯ |
未加入 | × |
カードローンのスコアリングを良くするために申込者ができること
スコアリングは個人の属性を評価する仕組みです。個人の属性は急に改善できるものではありませんが、工夫次第である程度改善することは可能です。ここでは誰でも簡単にできるスコアリング改善のコツをお話いたします。
申込みは正直に
当たり前のことだと思われるかもしれませんが、申込書に嘘を書くのはご法度です。スコアリングを少しでもよくしたいためについついこの不正に手を染めてしまう方は少なくないようですが、そんなことをしてもすぐにバレてしまいます。例えば他行で借りているローンを隠したり、年収を水増ししたりすると、それだけでスコアリングは大暴落してしまう可能性が高いでしょう。たとえスコアリングに自身がない場合でも、申込みは必ず正直に行いましょう。
たとえウソを付く気がなくても、うっかり事実とは異なることを記入してしまう可能性は否定できません。申込書を提出する前には必ずその内容をしっかりと吟味し、内容に嘘がないことを確認しましょう。
審査担当者への対応は誠実に行う
カードローンの申込方法はたくさんありますが、店舗や電話を通じて申し込む場合は、その際の態度も非常に大切になります。窓口担当者やオペレーターが最終的な融資の可否を決めるわけではありませんが、最初に書類を作成するのが彼らであることを考えると、印象を良くしておいたほうがいいことは間違いありません。別に編にへりくだったりこびたりする必要はありませんが、1人の社会人として恥ずかしくないような態度を取ることは心がけたほうがいいでしょう。
ローン会社から電話がかかってきたときはすぐ出る
ローン会社から電話がかかってきた場合は、きちんと確認しましょう。「知らない電話番号からの電話は取らない」という方も最近は多いかと思いますが、連絡を何度も無視していると、本来は審査で合格していたにも関わらず落とされてしまうかもしれません。
それでも知らない電話は取りたくないという場合は、申込先のローン会社の電話番号を確認しておくとよいでしょう。
その電話番号から電話があった場合は必ず取り、それがうまく行かなかった場合はすぐに折り返しの電話を掛けましょう。
カードローンのスコアリングに自身がない場合の対処法
カードローンの審査は基本的にスコアリングに基づいて行われます。スコアリングが悪かった場合、それをひっくり返して借り入れにこぎつけるのは難しいのですが、その方法法がまったくないというわけではありません。それが「自社利用実績」を用いた申込みです。
各ローン会社は、それまでの利用者のクレジットカードなどの利用実績に関するデータを持っています。これが自社利用実績です。自社利用実績が十分ある顧客に対しては、多少スコアリングが悪くとも貸し出す可能性があります。クレジットカードを十分に使えているのだから、ローンを貸し出しても帰ってくるだろうと判断するためです。
例えば現時点で楽天カードを保有しており、その利用実績が十分にある場合は、楽天銀行スーパーローンに申し込めば審査に通る可能性が高くなります。もちろん、これはあくまで可能性の大小の話であり、楽天カードを使っていれば楽天銀行スーパーローンに必ず通るというわけではないので注意が必要です。
クレジットカードの利用実績は非常に有益
若いうちからクレジットカードの利用実績を作っておくことは非常に重要です。前述の通り利用実績が積み重なってカードローンの審査に通りやすくなるのはもちろんのこと、その他のローン、例えば住宅ローンや自動車ローンの審査に通りやすくなることもあります。どうしても現金主義を貫きたい、という場合は仕方ありませんが、その場合は現金主義のデメリットにも目を通しておくことが重要です。
カードローンのスコアリングまとめ
最後に、今回の記事をおさらいしましょう。
- カードローンの審査はスコアリングシステムをもとに行われている
- スコアリングシステムは個人の属性に点数をつける仕組み
- スコアリングの点数が高いほど審査に合格しやすくなる
- スコアリングで特に重視されるのが年収の安定性、勤務先、勤続年数
- スコアリングは急に改善することはできない
カードローンの審査はスコアリングによって基準を上回っているかどうかで審査通過の可否を決定しています。
スコアリングシステムを理解すれば、それだけ審査に通る確率が上がります。
特に年収、勤務先、勤続年数の3つは重要ですので、審査が不安という方はまずはこれらを改善することから始めてみてください。