商工ローンならば自営業でもOK?
自営業だからこそ「お金をどうにかして月末までに用意しなければいけない」というシチュエーションもあるものです。しかし、カードローンを調べていると「事業性資金としての利用はNG」となっているものがほとんどということがわかります。つまり、一般的なカードローンは自営業者がビジネス目的で利用することは残念ながらできないというわけです。そこで、おすすめしたいのが商工ローン。商工ローンとはどのようなものなのか詳しく解説しましょう。
商工ローンとは?
テレビCMなどでもあまり見かけることがない商工ローン。「知る人ぞ知る」というローンではありますが、中小企業経営者、個人事業主などはぜひ把握しておきたいところです。
商工ローンとは経営者向けローン
商工ローンとは、企業経営者が事業資金に利用できるローンのことです。おもに中小企業や個人事業主に対して無担保で小口の短期融資を行っています。
中小企業や個人事業主向けのローンとしてはビジネスローンもよく知られています。いったい、商工ローンとビジネスローンはどこが違うのでしょうか。
ノンバンクが開発した商工ローン
商工ローンとは、元々は銀行融資を受けられない中小企業に対してノンバンクが始めたサービスです。商工ローンには次のような特徴があります。
- 審査は通りやすく、即日融資も可能
- 金利は高め
- 担保不要
商工ローンならば銀行のビジネスローンのように事業計画書や設備投資の見積書を求められることもありません。本人確認書類と所得証明書類があれば、スピード融資にも応じてもらえるのです。担保がなくても最大1,000万円程度の融資を受けることも可能なので、いざという時に頼りになるのではないでしょうか。
ノンバンクとは
ノンバンクとは銀行以外の消費者金融のことです。銀行のように預金の受け入れは行わず、お金を貸す等の与信業務だけに特化しています。じつは消費者金融もノンバンクの一種です。
商工ローンはビジネスローンとは違う
ビジネスローンとは銀行が中小企業向けに開発したサービスのことです。通常の大口融資対象外とされている中小企業が商工ローンに流れてしまわないように開発されました。銀行が提供しているだけあって金利は低めですが、審査は厳しめです。
しかし、商工ローンでありながらビジネスローンを商品名に冠しているものもありややこしい状況です。ノンバンクならば商工ローン、銀行ならばビジネスローンと覚えておきましょう。
商工ローンよりも新しいファクタリングの台頭
商工ローンやビジネスローンにかわって、最近注目を集めているのがファクタリングです。ファクタリングとは債権、すなわち未回収の売掛金をファクタリング・サービス会社に買い取ってもらい資金を調達するという方法になります。手形割引と似ていますが、不渡りリスクもないのでより安心です。資金調達が楽、保証人・担保不要、信用情報に記録されないなどのメリットがある一方、金利や手数料は高めになるので注意してください。
売掛金とはすでに商品納入やサービス提供が終了し、請求書も送付しているが入金が未完了のお金のことです。毎月200万円以上の安定した売掛金が期待できる事業をしているならばファクタリングを問題なく利用できるでしょう。一方「起業したばかりでビジネスが軌道に乗っておらず、十分な売掛金もない」という場合、利用できません。
商工ローンの気になる事件
商工ローン、ビジネスローン、ファクタリングの違いを検証してみると「商工ローンだけは利用できそう」というケースは多いのではないでしょうか。しかし、気になるのが商工ローンに関する過去の事件です。はたして、商工ローンとは安心して利用できるものなのでしょうか。
事件は20年も前のこと
商工ローンはバブル崩壊後に銀行の貸し渋りがひどくなり中小企業や個人事業主が銀行から資金調達するのが難しくなって台頭してきたという歴史があります。実際のところ、当時の商工ローンはまだ黙認されていた年29.2%というグレーゾーン金利で貸し付けも行っていたのです。
そのような高金利で高額融資をして、脅迫まがいの取り立てを行っていた日栄、商工ファンドの社員が逮捕されるに及び、とうとう社会問題となってしまいました。その後、SFCGと名前を変えた商工ファンドですが、金融機関で効力を持たないはずの手形を用いての差し押さえに対する訴訟などが相次ぎ、2009年には経営破綻しています。
今の商工ローンはまったく違う
過去の事件から商工ローンと聞くと「返済能力を越えた貸し付け」「違法な取り立て」をイメージする人も少なくありません。しかし、現在は貸金業法改正によって、返済能力を越えた融資は禁じられています。ニュースにもなった恫喝するような取り立てをすることも法律違反です。
たとえば、返済を遅れてしまうと昔は「夜中まで督促の電話がひっきりなしにかかってくる」ということがありました。しかし、現在の法律では電話連絡は基本的に8時から21時までの間と決められています。また、本人以外に借金していることをバラすのも違法な取立行為の一種です。
現在も正当な取立はある
商工ローンが起こした事件もすっかり過去の出来事になりました。現在では安心して利用できるようになった商工ローンですが、取立がまったくないわけではありません。もし、返済を滞ることがあれば、1日3回を上限として督促の電話がかかってきます。
電話に出ないでいると書類が送付されてきますが、それさえも無視すると自宅訪問を受けることになるでしょう。なかには自宅訪問を省略して訴訟に至る金融機関もあります。できるだけ早く対応して返済計画を立て直すなどしてください。
おすすめの商工ローン3選
以上のように、商工ローンは今ではまったく安心して利用できるサービスです。一口に商工ローンといってもさまざまなものがありますが、なかでもおすすめのサービスを紹介しましょう。
商工ローンといえば商工中金
商工中金とは1936年に設立された、おもに中小企業向けの融資を行っている金融機関です。これまで日本の数多くの中小・零細株式会社の資金繰りを助けてきました。
ただし、商工中金を利用するには規定の中小企業団体の構成員にならなければいけません。中小企業団体は業種が限られているため、対象外の場合は融資を受けられないので注意しましょう。
商工ローンの老舗ビジネクスト
商工ローンでありながら「ビジネスローン」を名乗って融資を行っている老舗のひとつです。三井住友信託銀行とアイフルによって設立されたというバックボーンからも、安心して利用できる商工ローンということがわかります。
アイフルやセブン銀行のATMと提携していて、カードローン感覚の手軽さで利用できるのも魅力です。ただし、商品ラインナップがあまりに多彩でどれを選ぶべきか迷うというのはデメリットかもしれません。
急いでいるならエフワン
金利は15~20%と他の商工ローンよりも高めですが、その分審査が甘めでスピーディーなことが特徴です。中小企業経営者や個人事業主はもちろん、フリーランスとして働いている人でも利用できます。
インターネットから24時間いつでも申し込みができるようになっています。たとえば、深夜に申し込みをして、翌日の午前中に融資を受けるのも不可能ではありません。
オリックスVIPローンカードBUSINESS
「ビジネス以外のプライベートな用途でも使いたい」というならば、オリックスVIPローンカードBUSINESSのような事業性資金も含めて使途目的自由という一部のカードローンを利用するというのもひとつの方法です。カードローンは作ってすぐに融資を受ける必要もないので、いざという時に備えて準備しておいてもよいかもしれません。
商工ローンとは中小企業の強い味方!
最後に、今回の記事のおさらいをしましょう。
- 商工ローンとはノンバンクが提供している経営者向けローンのこと。
- 一方、銀行の経営者向けローンはビジネスローンと呼ばれる。
- 最近ではローンではなくファクタリングという資金調達方法もあるが、どんな会社でも利用できるわけではない。
- バブル崩壊直後、商工ローンをめぐる事件もあったが、今は経営も健全化していて安心して使える。
- 商工ローンと一口にいってもさまざまなサービスがある。
経営者が融資を受けたいと考えた時、銀行や日本政府金融公庫を利用できれば1~3%と低金利での利用も可能です。しかし、低金利のローンはどうしても審査が厳しくなるので「利用したくでもできない」という経営者もいるでしょう。また「すでに、銀行や日本政府金融公庫からは限度額まで借りている」という時にも、ぜひ活用したい商工ローン。さまざまな商工ローンがあるので、希望に近いサービスも見つけやすいのではないでしょうか。